「なんだ!……なっ……!」

俺が居たとこ……そこには大きくぽっかりと空洞が出来ている。
そう。俺とコルマのとこに空洞があるということは攻撃を受けたということだ。

俺はサラベラ村に行くことばかり考えていた。その為、気配に気づかなかった。

「コルマ!コルマぁ!!」

必死にコルマを呼び掛ける。
だが返答はない。何故だ。

「くっそ。あいつのことだ。簡単に殺られるはずが……ん?」
ふとなにかをべちゃりと踏んだ感覚に目を下に向ける。
「………っ!」

向けたさきには人の死骸があった。
それも原型がほぼない死骸が。

この体躯…まさか。コルマだと言うのか?

さっきから呼んでも返事はない。
てことは…この原型のない死骸が……。

「嘘だろ……コルマ……」

そんなわけ……あいつに続いてコルマまで失うというのか……。
そう思うと足の震えが止まらない。今にも崩れ落ちそうだ。
コルマ……お前がか……。

「くっそ!」

信じたくないが故にその死骸を蹴りつける。
蹴りつけた死骸はエグい音を立てて原型のない死骸がもっと原型を無くしていく。
……こんなこと、が!

「おい……少しは労れ」

……っ!

崩れ落ちそうになった時、聞きなれた声がした。
声がした方向に振り返る。

「……こ、コルマ」

長身で細く、目はキリッとしており髪は黒だが、瓦礫のかけらや砂埃を被っている。
だが……コルマそのものだった。

「それに……」
コルマの顔が俺の目の前まで迫ってくる。

「俺を勝手に殺すな」

コルマだ……こいつ、生きてやがった。

「うるせえ!こっちは心配したんだぞ!」

俺の言葉にコルマはフンッと鼻笑いをし、真剣な表情になり、口を開く。

「ロディン……この空洞。魔神のものだ」
「そうか。……こんなことしやがって」

俺とコルマが立っている目の前にはここハザベル村の民達の無数の死骸が転がっていた。
大人から青年、中には子供まで居る。

ここまでする魔神に苛立ちが爆発しそうだ。

「絶対ぶっ殺す!魔神どもには俺が引導を渡してやる!」
「俺もやってやる。殺したいのはお前だけじゃないんだぞ、ロディン」

そう言うコルマの言葉に俺は気持ちが固まっていくのが感じられた。

ここから俺とコルマで魔神に立ち向かう戦いが始まる。その支度をするため家に向かう筈……だったのだが。