ねえ、どうしたの?


今こんなことを言うあなたの心がわからない。


あたしはあなたが好きなの。


あなたとの関係を、消したくなんかない。


消えてほしくない。



「優帆にさ、今大切な人がいるなら……」



本当に、どうしたの?


あたしの大切な人は……。



「無理して俺と一緒にいなくていいんだよ」



怜都だけ。


怜都が、大切なんだよ。大好きなんだよ。



「あたし、怜都が大切だよ? ずっと一緒にいたいよ。……怜都もさ、一緒にいたいって言ってくれたじゃん。……なんで、今更……」



2人の、この空気を察するように雨が降り出した。


あたしたちは、動かない。


動けない。



「俺もさ、優帆が大切だよ。だから、大切な人にはちゃんと幸せになってほしいなって。……俺、いないほうがいいでしょ?」



なんで? なんでそんなこと言うの?


変だよ、怜都。


怜都がわからない。



「どうしてそんなこと言うのっ!! あたしは……、あたしは怜都が好きなのに!
離れたくない、一緒にいたいのに……!」


「そっか。……雨だから、中入ろう」



ようやく立ち上がった頃にはもう土砂降りだった。


全身びしょびしょで。


ママがあたしたちを呼んでいる。


だけど急ぐことなく、怜都の後をゆっくりとついて行った。