「これ、いいな。」


そう言って寺田総馬が手に取ったのは小さめのネックレス。
丸い型の中にオレンジと紺と黄色、白の光が煌めいている。
確かに良いな、と和泉も思った。
寺田総馬とセンスが被るとは意外だ。


「和泉さんに似合いそうだ。」


ネックレスを和泉の首下の辺りに当てる。


「まぁ私大抵の物は似合いますしね。」

「和泉さん少し自重というものをだな。」

「本当のことですし。」


寺田総馬はふっと笑う。
それからそのネックレスを購入していた。

和泉が良いと思った茶碗は保留にしておく。
他の店でもっと気にいるものがあるかもしれないから。

屋台を出てからすぐに「つけてみてくれないか?」と寺田総馬に聞かれた。
特に断る理由もなかったので承諾する。

シルバーのチェーンがキラキラと小さめの光を放つ。
夜の色が見え始めた中、その光は鮮やかに浮かび上がって見えた。


「そう言えば初めてですね。」

「何がだ?」

「寺田さんがこういうアクセサリーを選ぶこと。いっつも私が欲しいって言ったものを買うだけじゃないですか。」

「あー、確かに、そうだな。」


アクセサリーの前後を確かめてから首の後ろに手を回す。
金具が小さめだったので取り付けるのに少し手間取ったが四回くらいやってみたらカチリとはまった。
位置を正して胸元を見る。

小さな丸いネックレスがぽてんとそこにあった。


「やっぱり似合うな。」


寺田総馬が満足気に呟く。
確かにこれは和泉好みのネックレスだ。
控えめな輝きがとても良い。

手が伸びてきて、ネックレスに触るのかと思ったが腕を掴まれた。
寺田総馬が屈む。
制汗剤だろうか、柑橘系の匂いがする。
ゆるく笑んだ目が近くにあって。

ふに、と柔らかい感触が唇に当たる。
どういう流れでこうなったのか、キスされていた。

キスといっても本当に触るだけで、一瞬で唇は離された。
和泉の様子を窺うように寺田総馬が見てくる。

和泉は少しムスッとした顔をしてみた。