「で、和泉はその大谷さんとかいうお金持ちとは付き合えそうなの?」


モリモリとバジルとチーズがふんだんに載ったピザを食べながら翔はそう聞いてきた。
くるくるとフォークを回しパスタを絡めとりながら和泉は翔を見る。

しばらく見ない間に随分とガッチリした。
部活をしていたので高校の時も体格は良い方だと思っていたが、さらに筋肉がついたのが一目で分かる。

今までの翔の話で、詳しいことは教えてもらえなかったが訓練も大変なのだということは分かった。


「まだ分からない。脈がないわけではないだろうけど。」

「まぁ、気の無い奴と四回もデートするわけないしな。」


翔はそう言いながら一枚目のピザをぺろりとたいらげ、次は何を注文するか選んでいる。


「よく食べるようになったね。」

「体力勝負だしな。生きてるって感じがする日々だよ。」


和泉は何か食べたいものはないかと聞かれ、別にいいと首を振る。
今食べてるアサリのパスタで十分だ。



「和泉も一応大谷さんのことは気に入ってるんだな。」


ぼんやりとメニューを見つめながらそう翔は言った。

「そうかな。」

「そうだよ。和泉が誰かのことを一緒に居て楽だとか言うの初めて聞いたし。」

「まぁ、楽だね、あの人とは。」


アサリを一口で食べる。
貝の濃厚な匂いが口に広がる。


「翔はさ、条件で結婚相手を選ぶのってどう思う?」

「別にいいんじゃないの。結婚と恋愛は別物って言うし、和泉がそうしたいって思ったなら。」


手を上げ店員を呼び注文をし始める翔。
彼は無難にマルゲリータを頼むようだ。

なんとなく、翔と大谷は似てるなぁと和泉は思った。
一緒に居て楽という部分もそうだが、人の事情に深入りしすぎないところが。
だからといってその場限りの付き合いというわけではない。
線引きがきっちりしているというか、ちょうどいいくらいに距離を取ってくれる。
浅く長く付き合っていける人なのだろう。