「今度調べて見てみます。」
「うん。良い絵だから見てみて。」
大谷と目が合う。
その時、先ほど考えていたことを思い出した。
太宰治のお伽草子だ。
ただ、ふっと良いなと思う。
和泉はいつか読んだ文章を思い出す。
確か、亀の台詞だった気がする。
あなたに助けられたから好きというわけでも無いし、
あなたが風流人だから好きというのでも無い。
ただ、ふっと好きなんだ
好きとか嫌いとかは、理屈じゃないものなのだろう。
「そういえば、良いレストランを見つけたんだけど、今度一緒に行かない?」
和泉はパッと顔を上げる。
目を細めている大谷。
「勿論、よろこんで。」
大谷と一緒に出かけるのもこれで四回目くらいだ。
いつも大谷から誘ってくれているので脈がないことはないだろう。
これは和泉の願いが叶う時も近いかもしれない。
思わず顔を綻ばせる和泉を大谷はじっと見つめていた。


