見つめた先の寺田総馬はボーッとした顔をしている。
十五万のカミーユフォルネの財布を持っている男が和泉のことをお金持ちと言うとは。
普通働いてもいない大学生がカミーユフォルネなんて持っているわけないのに。
これは馬鹿にされているのだろうか。
「大谷が言ってたぞ。パーティーの時和泉さんのドレスも鞄もイヤリングもハイブランドだから良いとこのお嬢さんなんだなって。俺はブランドはよく分からんが。」
カラカラとストローでアイスコーヒーを混ぜながらそう言った寺田総馬に毒気を抜かれた。
「それを言うなら寺田さんの財布だってカミーユフォルネじゃないですか。」
「ん?あの財布高いものなのか。」
「十五万はしますよ。」
「はっ!?」
カッと目を見開いた寺田総馬。
アイスコーヒーが机に零れていて思わずおしぼりを差し出す。
すまんと言いながら机を拭き、寺田総馬は瞬きをパチパチとする。


