それから数日して、翔のおかげか和泉に付きまとっていた男達は大人しくなった。



そのことがあってから、和泉と翔はよく一緒に行動するようになった。

学年一の美男と美女が一緒にいるのはそれなりの話題を集めたが、まぁあの二人なら、と周りもなんとなく勝手に納得していた。

ただ、和泉は付き合っているのかと聞かれたらハッキリとNOと答えていた。
それでも周囲の人間は翔と和泉が付き合っているのだと無駄に考えていたようだ。

竹を割ったような翔の性格は好感を持てたし、何より和泉を異性として意識していないところが心地良かった。
翔が何を思って和泉と一緒にいるのかは分からなかったが、二人の相性は良かったのだろう。
会話も盛り上がりはしなかったが、お互いに無理せず自然なテンポで話せた。


「和泉はさ、将来性のある男と付き合いたいの?」


そんな質問を投げかけられたのも、いつも通り中庭で翔と昼ご飯を食べている時だった。
海苔が挟んである出し巻き卵を口に含みながら和泉はしばし考える。

少しして、初めて会った時のことを言っているのだと分かった。



「違う。幸せになりたいの。」


モゴモゴとお気に入りの出し巻き卵を味わいながら和泉はそう返す。
和泉の返しが予想外だったのか、翔はサンドイッチを食べようとした姿勢のまま固まっていた。