「え、和泉さんいくらなんでも一回会っただけで結婚まで考えるのは早すぎると思うぞ。」

「でも彼ほど条件を満たしている男なかなかいないですよ。」

「条件?なんだ条件って。」


目をパチパチと瞬かせる寺田総馬。
和泉はそんな彼の様子をお構い無しに頬杖をついて再び雑誌に目を落とす。

もはや和泉にとって寺田総馬は大谷さんの情報提供源でしかなかったのでどう思われようが構わなかった。
だからか、ポロリと口から本心がでた。


「お金持ちで、将来が安定しそうで、ある程度の教養があることです。」


大谷はその全てを満たしていた。
むしろそれ以上の好物件だ。
その上、あの割り切った性格ならある程度の線引きをしてくれるだろう。

和泉の性格でも、そこそこに相容れられる気がする。


はぁ、と何がなんだか分からないような寺田総馬の声がする。


「和泉さんは、そんな風に結婚相手を決めてしまうのか。」

「そうですよ。」

「寂しくないか、それ。」

「そうですかね?」


あまりそんなことは考えたことはなかった。
普通とは少し違うとは分かっていたが。

寂しい、とは。
ふむ、と黙った和泉に眉を寄せた寺田総馬が口を開く。


「まぁ、でも大谷も和泉さんと似たような考え方してるし、案外お似合いなのかもなぁ。」


納得いかなさそうなその呟き。
和泉は音をたてずにアイスコーヒーを啜った。