街の喧騒から少し外れた静かな通りのカフェのテラス席で、和泉と寺田総馬はのんびりとアイスコーヒーを飲んでいた。
和泉は先日発売されたばかりのファッション雑誌を捲っている。
寺田総馬はそんな和泉に訝しげな視線を寄越していた。
そのまま数分。
いい加減に視線が鬱陶しくなってきたので渋々和泉は口を開いた。
「なんですか?」
「別に、なんでもないぞ。」
「言いたいことがあるんだったらハッキリ言ってください。」
さっきから視線がうるさいんですよ、と着痩せ特集のページを見ながら和泉は言う。
寺田総馬には一切目を向けない。
そんな和泉の態度が気にくわないのか、ムッと寺田総馬の機嫌が悪くなったのが分かった。
「……今、大谷と和泉さんの二人から同時にお互いの連絡先を聞きたいと言われてるんだ。」
「だから早く大谷さんのメアドと番号教えてくださいよ。」
「二人して何か悪巧みしてないか?」
「なんでそうなるんですか。」
「和泉さん達の性格を考えたらなんだかそう思えてしまってな。」
失礼な、と和泉はようやく雑誌から目を上げて寺田総馬を見る。
和泉とて好きで寺田総馬と一緒にいるのではない。
大谷さんの情報を集めようと思ったらどうしても関わるしかないから一緒にいるのだ。
「私はただ大谷さんに興味があるだけです。」
「……もしかして和泉さん、大谷のことが好きなのか?」
信じられないものを見るかのような目でこちらを見てくる寺田総馬。
この男はなんなんだ本当に。
私が他人に興味を持つのがそんなに珍しいか。
「好きっちゃあ好きですよ。今のところ一番結婚したいのは大谷さんですね。」
「は!?」
ガタッと椅子を揺らし寺田総馬が驚いた声を出す。
こんなオシャレなカフェで騒ぐのは本当にやめてほしい。


