「総馬さん」

「誕生日プレゼント、何か欲しいものはあるか?」

「要りません」


コンマ0秒で断られた。
その上、総馬の手を振り払われ、ギュッと真正面から抱きつかれた。

また転がされる。
直感では分かっていたが、身体は正直なもので条件反射のように和泉の背中に手を回していた。

これはしょうがない。
胸に収まる和泉はなんだかいい匂いがするし柔らかいしあったかいし。


「何も要らないから、そばにいてください」


そう言われて、総馬はあっさり落ちた。

和泉は分かっててやっているのだ。
頼られるようにすり寄られ、甘えるようにそう言われるのに総馬が弱いことを。

というか、大抵の男は和泉に抱きつかれたら言うことを聞くだろう。

きっと和泉はこうやって、次の男に甘えてすり寄って良いように転がして。
再婚するのだろう。

別の男にも同じことをするのかと思うとはらわたが煮えくりかえる思いだが、そこはぐっと堪える。