これは寝室に連行されるパターンだ。
腕の中の和泉の温もりに負けていつもは寝てしまうが、今日はそうはいかない。
くるりと身体を反転させて、両手を捕まえる。

不服そうな顔が目の前にあった。
話を切り出そうと口を開いた瞬間、目の端にカレンダーが映った。

そして、あ、と気付いた。
ドッと心臓が大きく揺れ、一気に身体が冷えた。


「和泉」

「はい?」

「ハッピーバースデー」


瞬きをして、和泉は総馬を見つめる。
対する総馬としては、胸の中でひたすら後悔していた。

馬鹿だ間抜けすぎる何やってんだ俺。
今日が夫として祝える最後の和泉の誕生日だったのに。
忘れてたとか、人として色々最悪だ。

心の中で七転八倒。
震える口で話しかける。


「すまん、色々あって忘れてた。埋め合わせは必ずする」


そう言っても和泉はじっと瞳を総馬に向けている。

何年か一緒にいて総馬もなんとなく分かってきた。
和泉がこんな顔をしている時は、考えているのだ。
どうやって総馬を動かそうか、を。

和泉がこの顔で考えた後、総馬はうまいこと転がされてベッドで眠りについている。
そういうことが今まで多々あったのだ。