静かな場所へ行きたいと思った。
波の音が聞こえる、海に近い場所。
そこで、昼は散歩して夜はゆっくり寝るだけの、何もない生活を送りたかった。
あぁ、でも、夜眠る時は隣に温もりが欲しいかもしれない。
チカチカと目に悪そうな光。
総馬のパソコンのディスプレイ。
その前に座っていた、いくぶん猫背気味の背中を思い出す。
五年の間も、ナムトへ行っている人たちからのメールはひっきりなしに来ていた。
送られてくる写真を見つめる背中を、和泉はいつも黙って見ていた。
『こんにちは。タイニ省調査団リーダーの長政です。この半年の間のタイニ省での調査の結果を報告します。流産二百四件。奇形児百二十三人。そのうち四分の一の三十一人が生後半年の間に亡くなりました。また、前例のない症状の子供もいたので写真を送っておきます。
タイニ省の植林はやはり厳しく、植えても木がすぐにダメになってしまいます。
土壌に蓄積されたダイオキシン量が他の地域よりも多いことが確認されました。それから、現地には……』


