総馬としてはもう少し触っていたかったので「和泉」と呼びかける。
指を絡めれば、数秒の逡巡のうち、控えめに握り返される。
「和泉」
もう一度呼びかけてキスをする。
唇を舐めれば、ゆっくりと口を開けてくれる。
舌を入れて絡ませる。
顔の角度を変えながらザラザラした感触を味わう。
頭の後ろがビリビリと痺れた感じがした。
胸を叩かれてようやく顔を離した。
目の前で静かに息を整える和泉の顔。
上気した頬が幼い感じがした。
総馬はなんだか堪らなくなって、和泉に思い切り抱きついた。
腕の中で和泉が目を瞬いた。
「どうしたんですか、今日は」
カルティエか、グッチか、ブルガリか。
それともやっぱり、結婚指輪はティファニーがいいのだろうか。
何年もつだろうか。
和泉は、どこで俺を切り捨てるんだろう。
総馬の頭の中でぐるぐるとあらゆる考えが巡る。
春と冬が行ったり来たり。


