家に帰ると、灯りは点いていたが和泉の姿はなかった。
すでに寝室で眠っているのだろう。
和泉は体質なのか寒い季節になるとすぐ眠くなる。
夜一緒にテレビを見ていても「眠い」と言ってコテンと総馬に身体をもたれかける。
口を開けば鋭利な刃物のような女性だが、眠い時は素直に甘えてきてくれる。
それが総馬は嫌いではなかった。
机の上にあった肉じゃがをレンジで温める。
チン、という音がした時に、キイッと静かに寝室の扉が開いた。
眠たげな顔をした和泉が立っていた。
「おかえりなさい」
「ただいま」
ぼんやりとした目に笑いかけ、和泉の腰に手を回す。
柔らかい頬を片方の手で持ち上げ、こちらを向かせる。
特に抵抗もなかったので、おでこと鼻に口付ける。
触れたのは一瞬であたたかさはすぐに離れる。
「安国寺さんは?」
「うん。問題なく進んだ」
和泉は眠たげなまま「そうですか」と言う。
まだ夢心地なのだろう。


