『寺田さんの彼女は寺田さんの活動を手伝わないそうですね。そのことに関してはどう思われているのですか?』


質問者は一年前に会った島さんか?
少し考えてから、誰でもいいかと思った。

ネットの発達した社会では人の口以上に噂が回るのが早い。
インターネットでは既に和泉に関する書き込みが多数ある。
もちろん、住所や氏名も割れている。
一時期は和泉につきまとう取材陣もかなりいた。


「マスコミももう懲りたと思ってたけど、和泉さんに関してまだ触れるんだね」


大谷がめんどくさそうにそう言う。
彼も話だけは聞いていたのだろう。

取材陣が和泉につきまとっていた頃。
和泉はマスコミにはノーコメントを貫いていた。
まともに対応するのもめんどくさかったのだ。
ただ、過度な取材や電話は精神的苦痛を受けたとして民事上の損害賠償請求が出来るというのは知っていた。

和泉はあまりにも取材が長引くようなら裁判を起こそうと思っていたので、毎日のように来る取材陣たちの顔写真は撮り続けていた。
かかってきた電話の履歴も全部保存しておいた。