「諜報部も暇なんですか?」

「最近はね。ようやくひと段落つきそうなんだ」

「停戦ですか」

「うん。世間でもこれだけ反TSの意見が台頭するとね」


大谷は穏やかな目でテレビを見つめる。
少し疲れた顔だ。

諜報部の駆け引きは、国家間だけでなく諜報員の間でも行われているらしい。
ここ五年だけでも、遺族の元に死体が戻ってこなかった諜報員が何人もいるという話を聞いた。
生き残るだけでも大変なのだろう。

和泉も静かにテレビに目を向ける。
賑やかな画面では、見慣れた顔が困ったように笑っている。


『では、反TS活動の今までとこれからを特集してきましたが、毛利さんはどう思われましたか?』

『私たちの知らないところで、ずっとナムト国の人たちのために戦っていた人たちがいる。そのことに、とても胸が痛くなりました。私も何か力になりたいと思いましたね』


今をときめくティーンモデルが目をキラキラさせてそう言う。
寺田総馬はいつも通りの笑みを顔にたたえている。