「そりゃあ、やれるだけやろうとするだろう」

「本気で救えると思ってるんですか」

「救うだなんて。ただの罪滅ぼしさ」


ポタージュを口に運びながら寺田総馬は呟く。

和泉と寺田総馬はこの手の話は何度もしてきたのだ。
お互いの主張は嫌というほど分かっている。

もうどう手を尽くしても無駄だと言う和泉と。
すぐじゃなくても、何百年後の成果のために行動すると言う総馬。


「俺だって分かってる。もう手遅れなことくらい。それでも、罪を見て見ぬ振りは出来ないから。こうやって動いてるんだ」


除草剤を作ったのは俺だしな。

ポツリとそう言った。
別に除草剤を作ったことは悪いことではないだろう。
使った人の使い方がまずかっただけだ。

それだけのことなのに、何故自分のせいのように思うのか。
何故背負おうとするのか。
寺田総馬のその思考回路が、和泉には全く理解不能だった。



「総馬さん。あなたは人間です。神でも仏でもない。人を救うことだってできない。まして全部背負うことなんてできない。思い上がるな」


傲慢なんですよ、と和泉の言葉。
ポカンとした顔をされた。

だってそうだろう。
自分の許容範囲を超えたことをやろうとして。
できると思っていて。
ただの人間のくせに。