「今日、島さんって人に言われたんですよ」
「島さん?」
「島グループの娘さんです。総馬さん話したことないですか?」
椅子に座りながら寺田総馬は難しい顔をして黙り込む。
少しの間を置いて、パッと顔を上げた。
「思い出した。一年前くらいから手伝ってくれてる子か」
そう顔を輝かせてから、何か言われたのか?と心配そうに声をかけてくる。
寺田総馬は悪口を嫌う。
負の言葉を嫌う。
和泉が他者からよく思われてないのは知っているから、彼は和泉へ向けた非難の言葉には難色を示す。
自分は散々和泉のことを自分勝手だ利己的だと言うくせに。
「や、総馬さんに似てたなぁと思って」
「そうか?」
きょとんとそう返される。
似てたというか、姿勢が一緒というか。
「本気で救おうとしてたところが」
和泉がそう呟くと、途端に総馬は渋い顔になる。


