「浄化活動も、まぁ、それなりに良いことだとは思うんですけど」

ナムト国のために何かしようと動いている。
島さんも、寺田さんも、和泉と比べればとても人道的で良い人だ。


「浄化したからといって、私たちの国の罪が消えるわけでもないんですよ。」


汚したところをキレイにして。
それで良い、ではないのだ。


「もう滅茶苦茶にされてるんですよ。ナムト国も、そこで生きてる人達の人生も、これから生まれてくる子供たちの人生も」


もう遺伝子はかなり傷つけられた。
これからナムト国の人達にどんな障害が出てくるか。
ナムト国の人達の子供がどんな障害をもって生まれてくるか。

土地をキレイにしたって、これからの彼らと、その子孫の人生を大きく狂わせてしまった事実は変わらない。


「何十年も後まで続きますよ、きっと。私はそんなに長くまで責任を負いたくないですし、負おうとも思いません」


持てない荷物は持たない主義なんです。
和泉のその主張に、島光は黙って下を向いていた。


「和泉さんと寺田さんは、全然違うんですね」

「そうですね」

「なんで付き合ってるんですか?」

「彼お金持ってますから」


そこでようやく島さんは顔を上げた。

その顔は歪に引きつり。
軽蔑と、諦めと、不快とで、笑うしかないという表情だった。