そうやって、優弥と言い合いをして、イラッとして。

だけど、不覚にも楽しいと思ってしまった。

あんな男、楽しいはずがないと思ったのに。








「それにしても、Fってすごいんでしょ?」



あたしの言葉に、



「何がすげぇんだ」



奴は問い返す。

……問い返したのではないかもしれない。

語尾が下がっていて、クエスチョンマークが付いているなんて思えない言い方だ。





再びイラッとするけど、続けるあたし。





「Fの曲は難しいって言ってる人がいた」




すると、優弥はドヤ顔をする。

またまたまたイラッとして、張り飛ばしたくなった。

でも、出来なかった。

優弥の話が聞きたいと思ってしまって。

優弥なんて好きでもないのに、今日のあたしはおかしい。