賢君は料理上手で有名。
蒼情報によれば、Fの仕事の傍ら某有名店でシェフをしているらしい。
いいよな……シェフの味。
優弥よりは、おおらかで料理上手の賢君のほうがまだタイプだ。
だが、優弥は変な顔をする。
そして言う。
「あいつ、俺にメシを作る時は滅茶苦茶マズいものを出す。
味が濃すぎたりする次元ではなく」
「例えば?」
「そうだな……
この前は、サンドイッチくれたんだが……ヤバかった。
見た目は分かんねぇのに、レタスと、わさびとからしとハバネロが入っていた」
思わず吹き出すあたし。
その時の優弥、見てみたい。
きっと、本気で怒鳴り散らして……
すごく笑えるんだろう。
「俺が文句を言うと、スーパーで買ってきたもずくを出された。
これでも食べてろって」
「……」
もはや返す言葉が見つからない。
賢君が天然なのか、優弥が馬鹿にされすぎなのか。



