少しの呼び出し音の後、彼が電話に出る。
「はい……」
めちゃくちゃテンションが低い。
寝ていたのか。
ざまあみろだ。
だけど、その声を聞くと、何だか疲れがふっとんでしまった気がした。
「おい……今、何時だと思ってるんだ?」
優弥はだるそうに聞く。
そんな彼に、
「ミラノは夕方なの。
優弥に電話して、その後クルーとディナーに行こうと思って」
「……そうっすか」
彼は相変わらずテンション低く言った。
優弥はそんな調子だけど、電話を通して聞こえる息遣い、話と話の間。
それらが、電話の向こうの優弥をありありと連想させて……
何だか痺れた。
全く興味がないはずなのに、こうやって電話出来るのが嬉しい。



