「紅」




優弥があたしを呼ぶ。

頰を染めて、仕方なく彼を見るあたし。

視線がぶつかり、さらに顔に血がのぼる。

優弥は、相変わらずしかめっ面で。

だけど、なんだか嬉しそうにあたしに言う。





「ありがとな」




例外なく、どくんと胸が音を立てた。




「紅のおかげで、俺はまだまだ頑張れそうだ」



「……何よ、優弥のくせに」




口を尖らせてあたしは言う。

こんな可愛げのないあたしだけど……

あたしも、優弥のおかげで頑張れそうな気がしてきた。








どんな貢ぎ物より、どんなドM男より、優弥が好き。

俺様で、趣味が悪くて、時々抜けていて、

そして、実は優しくて、仲間思いなあんたが好き。





覚悟してなよ。

あたしを惚れさせた代償は大きい。






ー完ー