某高級ホテルのフレンチ。
夜景の見える、お洒落なレストランだった。
薄暗い照明に、テーブルの上のキャンドル。
目下にはキラキラ輝くロサンゼルスの夜景。
デートには、これ以上ないというほど素敵な場所だった。
大抵の女は、こんなところに連れてこられるとイチコロなんだろう。
薄暗い照明に照らされた優弥は、何だか色気すらあって。
あたしは慌てて目を逸らした。
そして、注文を聞きに来た男性に、
『一番高いフルコースを』
頼んでやる。
あたしの出来る限りの抵抗だ。
一番高いフルコースを頼んでも、優弥には痛くも痒くもないだろうに。



