「ヨウコの好きと、南條さんの好きは違います」
「え……」
あたしは、柏木さんをじっと見た。
柏木さんは頰を、というより顔を真っ赤にさせて、もじもじして俯く。
「ヨウコはファンです。
みんなのヨウコです。
南條さんは……す……好きです」
どくんと胸が鳴る。
顔が熱くなる。
「南條さんはおお俺のものです。
他の人には渡せません。
南條さんといると、楽しい。
こうやって一緒にいると……にやけてきて、身体が熱くなったりして。
笑顔が見たい、もももっと触れたいって思ってしまうのです」
早口でそう言う柏木さん。
思わず笑ってしまった。
笑いながら、胸の奥がすーっとした。
そして、身体がきゅんとして、頰が緩んで。
やっぱりあたし、この言葉を待っていたんだ。
好きという言葉だけで、こんなにも胸が軽くなって、幸せになれるなんて。



