「え?」 柏木さんは驚いたようにあたしを見た。 その切れ長の瞳をまん丸にして。 「あたしより、ヨウコが好きなんでしょ?」 「……」 柏木さんは口をぎゅっと噤む。 そして、泣いてしまいそうな顔であたしを見た。 「南條さん…… 確かにヨウコは好きですが…… 違うんです」 その声は、消えてしまいそうなほど弱々しく震えていた。