何それ。
まさか……出張って、柏木さんと?
「嫌です、絶対嫌です!!」
慌てて課長に言う。
よりによって、なんで柏木さんなの?
「柏木さんと行くくらいなら、一人で行きます!!」
あたしは泣きそうな顔で課長に詰め寄る。
それでも、課長が許してくれるはずもない。
「確かに柏木君一人でもいいんだけど、南條さんにもそろそろ柏木君の仕事を引き継いでもらわないと」
それは分かる。
柏木さん、仕事抱えすぎだもん。
だけど、今は駄目。
柏木さんと、本当に関わりたくないの。
関われば関わるだけショックを受けてしまう。
柏木さんは、あたしなんて好きでもなんでもないと思って。
ただの片思いで良かった。
秘密を知ってしまったのがいけなかった。



