「な……」
あたしは固まっていた。
見てはいけないものを見てしまった気分だ。
ドキドキすら吹っ飛んでしまって、口をあんぐり開けて柏木さんを見ていた。
「なな南條氏が本当に来てしまいました……」
柏木さんもあたしを見て、口をパクパクしている。
「だから言ったでしょ?
そんな格好してたら引かれるって」
慧太郎が笑いながら言う。
「でも……落ち着くんです、この服装」
「せっかく僕がコーディネートしてあげたのに……」
慧太郎はがっかりしたように言う。
そうなんだ。
柏木さんの服、慧太郎がコーディネートしたりするんだ。
……てことは、少なくとも慧太郎はセンスがいいの?
そうだよね。慧太郎の服装は、特に違和感はない。
それに、慧太郎はいつもの慧太郎で。
裏表がないのかもしれない。



