あたしは柏木さんを見た。 すごく弱々しくて泣きそうな顔をしているけど、やっぱり柏木さんは柏木さんだ。 その清潔な身なり、整った顔。 あたしの好きな柏木さんのものだ。 「俺……ここ怖いんです。 俺のことを知った人が離れていくのが。 だから……」 柏木さんはすがるような目であたしを見て…… あたしは、視線を離せなくなる。 「南條さん…… 嫌いにならないでください。 俺……」