ヲタカレ。〜デキる先輩の秘密〜






「南條氏、頼むッ!!

俺と付き合ってください!

この通りです!」




人がたくさん行き交っているというのに。

道の真ん中だというのに。

柏木さんはなおも大声で喋り続ける。

それが恥ずかしすぎて、周りの目が痛すぎて。




「……とりあえず、ご飯でも食べに行きましょう」




ため息まじりにあたしは言っていた。





こんな柏木さんとご飯なんて行きたくない。

だけど、興奮している柏木さんを落ち着かせるには、それしかないと思った。

落ち着いてご飯を食べて、しっかり伝えよう。

あたしは、柏木さんが好きだったけど……こんなおかしな柏木さんとは付き合えないってことを!






「まままマジっすか?

南條氏、デートしてくれるの?

それなら俺、メイドカフェが……」



「嫌です」




あたしは、ぴしゃりと跳ね除ける。




「静かでゆっくり話せるところがいいです」