あたしは、道をすごい勢いで歩いていた。
まるで、駆け出しそうなほどに。
というのも訳がある。なんと、柏木さんが追いかけてきたからだ!
柏木さんは、あたしを追い回して何のつもりなんだろう。
あたしは今、とっても複雑な気持ちなの。
そして、柏木さんとは関わりたくないの。
それなのに、
「南條!」
柏木さんはあたしを呼ぶ。
やめてよ、あたしの気持ちを察してよ。
それでも、柏木さんには分からないらしく。
「南條!!
……おい……澪ちゃん!」
急に澪ちゃんなんて呼ばれて、あたしは飛び上がっていた。
そして、思わず振り返っていた。
ヤバイ、胸がドキドキする。
今は柏木さんに惚れている気分じゃないのに!!



