仕事を終え、柏木さんと一緒にオフィスを出た。 今までは周りの目を気にしたり、付き合っていない風を装ったりしていた。 だけど、晴れて柏木さんと並んで歩けて幸せだと思う。 やっぱり震える柏木さんの手に、あたしの手を絡ませる。 幸せだと感じた。 すごくすごく、幸せだと。 「みっ……澪ちゃん」 柏木さんが言葉に詰まりながら言う。 「こここここれから、俺の家に来ませんか」 あたしは黙ったまま、柏木さんの手を強く握りしめ身を寄せた。