「なんか……ウザいです」 苦し紛れに柏木さんに言う。 「うぜぇ? 南條はいつも失礼だな」 彼はそう言って、いつものように楽しそうに笑う。 そんないつも通りのやり取り。 何も怪しくないやり取り。 それでも、あたしの胸の奥は複雑だった。 柏木さんはいつも通りすぎて、昨日の出来事が夢かもしれないとさえ思う。 あたしは、変な夢を見ていたのかもしれない。 ついでに言うと、柏木さんと付き合っているということも、夢なのかもしれない。