柏木さんは、不意にあたしを見た。 いつものカシタカの勝ち誇ったドヤ顔で。 何だか恥ずかしくなったあたしは、真っ赤になって下を向く。 いつもと反対だ。 あたしは柏木さんにタジタジだ。 それでも、チャラカシタカは強い。 「なぁ、南條?」 キメ顔のままあたしに聞く。 「……知りませんよ」 いつもの可愛くない返事しか出来ないあたし。 声が震えないように、ものすごく神経を集中させる。 それでも鼓動は速くて身体は熱くて。 生きた心地がしない。