あたしは彼らとともに部屋にいた。
そして、中根さんが鍵がかかっていることを、何度も確認していた。
何度も何度も。
あたしは部屋の中央にある席に座り、放心状態に陥っていた。
あたしの斜め前には柏木さんが座り、同じく放心状態に陥っている。
部屋の中に、恐ろしいほど気まずい沈黙が流れた。
「えっと……柏木……」
中根さんが、弱々しい声で柏木さんを呼ぶ。
いつもは凛と響く体育会系の声なのに、今日は全然違う。
柏木さんは顔を強張らせたまま、頷いた。
そして、口を開く。
「なな……南條……
何も見てない、何も聞いてないよな?」



