しまったと思った。
まずいと思った時点で、這ってでも逃げれば良かった。
ぽかーんと突っ立って二人を見ていたら、いずれバレるに決まっていたのに。
床に膝をついて、携帯を耳に当て、訳の分からないことを口走る柏木さんと、視線がぶつかった。
そして、一瞬時間が止まった。
あたしたちはお互いに、死んだ魚のように口をパクパクさせていた。
「どうしたんだ、柏木氏?」
中根さんがそう聞き……
「中根さん……」
柏木さんは顔を強張らせたまま、震える指であたしを指差した。
やってしまった。
あたしは、KMAPの秘密を知ってしまった。



