そんな時、携帯の着信音が鳴り響く。
柏木さんはむくりと上体を起こし、携帯を耳に当てる。
そして、
「……はい、柏木ですぅ」
弱々しく電話に出る。
……なに!?
ですぅって、何?
目の前の光景に唖然とするあたし。
これは悪夢だ、見なかったことにしようと思うのに、身体が動かない。
「……マジで?
きっ……キターーーー!!」
柏木さんは狂乱する。
あたしは驚愕する。
そして、柏木さんは携帯を耳に当てたまま、中根さんにベラベラと喋りだした。
「中根氏!
来月の公演チケット、手に入ったって。
ううう嬉しぃ~」
「柏木氏!でかした!!」
「こっ……これで、俺の愛しのヨウコに……」



