「澪」
あたしを呼ぶ、凛とした低い声。
そして今日は、甘くて色っぽい。
身体が震え、毛穴が収縮する。
「好きだ……」
切なげに響くその声に、おかしくなってしまいそう。
あたしの上に覆いかぶさり、あたしに顔を近付ける柏木さん。
その顔が綺麗で、色っぽくて。
思わず手を伸ばした。
柏木さんの頰に触れるあたしの手。
少しごつっとした、男らしい頰。
すごく愛しい。
あたし、このまま抱かれたい。
柏木さんのものになりたい。
だけど……現実は、そんなに甘くない。
柏木さんはどさっとベッドに倒れ、くーくーと寝息を立て始める。
アルコールの匂いが鼻につく。
よっぽど酔っていたのだろうか。
「み……澪……」
もはや寝言であたしを呼ぶ柏木さんに、あたしは抱きついていた。
男らしい身体つきに、熱いまでの体温。
全てが愛しくて、あたしの胸をめちゃめちゃにする。
好きです……
柏木さん、あたし、もう我慢が出来ないほど、あなたが好きです。



