お風呂から出た柏木さん、いつもはワックスでかっこよくセットしてある髪が、ぺたんと寝ていて。
普段よりも少し幼く感じる。
そして、ボディーソープのいい香りがする。
バスローブから覗く手足は、男らしくゴツゴツしていて。
あたしの胸はときめいて止まない。
どうしても、その腕に抱かれるのを想像してしまうのだが……
「南條、来いよ」
柏木さんはビール片手に手を伸ばす。
本当は、その腕に飛び込みたい。
だけど、柏木さん、酔っているから。
正気に戻った時、びっくりしすぎて倒れるかもしれないから。
その場でぐっと我慢した。
柏木さんは、そんなあたしの手を容赦なく握り、引っ張る。
体勢を崩したあたしは、柏木さんの腕の中にすっぽり収まり、柏木さんはぎゅっとあたしを抱きしめる。
柏木さん、大丈夫なの?
いつもはあたしに触れただけで真っ赤になっているくせに。
それなのに、今日の柏木さんは強かった。



