「ディナー、すごく美味しかったです。
それに夜景も綺麗で」
あたしは、柏木さんの腕を握りしめたまま言う。
少しだけ飲んだワインが、少しだけあたしの頭をぼんやりとさせる。
だけど、顔が熱いのはワインのせいだけではない。
「良かったです、南條さんが楽しんでくれて」
柏木さんはすごく嬉しそう。
そんな柏木さんを見ると、あたしまで嬉しくなってしまった。
「今日は明日に備えて、もうゆっくり休みましょう。
ホテルの手配、ありがとうございました」
柏木さんは言う。
「おお俺、酷いこと言ったから、もちろん南條さんとは別々のホテルですよね?」
当然のように聞いた柏木さんに、あたしは言った。
「……同室で取ってしまいました」
「!?」



