柏木さんは、そっとあたしの手を握る。
真っ赤になりながら。
そしてあたしも、真っ赤になっていた。
胸がじーんと甘くしびれる。
ずっと、こうしていたいと思う。
「南條さん……
すごくすごく好きです。
仕事中も、南條さんに酷いことばかり言ってしまって。
でも、そうすることしか出来なくて」
柏木さんは泣きそうな顔であたしを見る。
そんな顔で見ないでほしい。
あたしは平気だから。
こうやって、柏木さんの気持ちを知れて、本当に幸せなの。
「もう、癖なんです。
小心者の俺は、かっこいいふりを止められないんです。
かっこいいふりをすると、人間関係が全て上手くいくから。
……南條さんを除いて」
その言葉に笑っていた。
笑いながら、柏木さんの手をぎゅっと握る。



