「ご……ごめんなさい、嫌な思いさせてしまって。
それに、いつも酷いこと言って」
柏木さんはもじもじして続ける。
「ほほ本当は大切にしたいけど、どうしても癖で……」
「癖?」
思わず聞いたあたしに、柏木さんは言う。
「ととトラウマなんです。
小心者の俺は、人前ではカッコつけることしか出来ません」
「え……」
「南條さん。
俺のつまらない話、聞いてくれますか?」
あたしは、柏木さんをじっと見た。
柏木さんが話す、柏木さんのこと。
柏木さんをもっと知りたいと思った。
柏木さんがトラウマを持っているなら、寄り添ってあげたいと思った。



