「柏木さん!」




遠くで女性が柏木さんを呼ぶ。

甘くてぶりぶりした声。

柏木さんに気があるのが見え見えだ。

そして、それが酷く不快だ。





だけど柏木さんはそんなの気にせずに。




「なんだなんだ?」




楽しそうに返事を返す。




「今週末飲み会するんだけど、来れませんかぁ?」



「マジで?行っちゃおっかな〜」




何そのチャラくて軽いノリ。

それなのに、



「あ、でも俺、用事あるんだ」



自然に断る柏木さん。




「用事って何ですか?」




怪訝そうに聞く女性に、柏木さんは答えた。



「別の飲み会だよ。

……ま、早く終わったら合流出来るけど」