電車に乗って隣町で降りる。
そこから15分程歩いて辿り着いた所は…
「希ちゃん、ここ…」
あたしは何も言わず目の前のチャイムを鳴らした。
「はーい」
中からそんな声が聞こえたと思ったら、玄関のドアが開いた。
出てきた人を見て固まる颯斗。
「こんにちわ、昨夜お電話しました梶田です」
「あなたが!じゃあ、颯斗、なのね?」
颯斗を見て、優しく微笑む40代くらいの女性。
この人は、野倉冬子(トウコ)さん。
颯斗の母親。
あたしが颯斗を連れてきたのは、颯斗の家族が住む家だ。
「あ、はい」
実の母親に敬語を使っているところ、どうしていいか分かってないみたい。
「さぁ、中へ入って」
「お邪魔します」
あたしに続いて入る颯斗も、お邪魔しますって言ってて、冬子さんは寂しそうに微笑んでいた。


