コンコン


「入れ」


中から父さんの声。


「失礼します」


父さんの部屋は、壁一面本棚。


読書が大好きな父さんがこの部屋だけリフォームして作った。


屋敷自体は日本家屋みたいなのに、ここだけ洋室。


そして、ここは組だぞ?


ミスマッチすぎるだろ。


「希か、任務ご苦労だったな」


父さんは部屋の真ん中に置いてある自分の机で読書をしていた。


あたしはその前まで行く。


「いろいろあったけど、楽しかったから大丈夫」


あたしが微笑んで言うと、父さんも安心したように微笑んだ。


「なら良かった。さて、要件はなんだ?」


さすが父さん。


勘が鋭い。


「紅蓮の姫になりました」


「ほぉ」


あれ、驚くかと思ってたのに顔色1つ変えない。


それどころか、少しニヤッとした感じ。


「紅蓮も龍神と同じように闇を持っている奴がいて。だからあたしは、みんなを救うまで向こうに住みます」


もう決めたから。


父さんに反対されても、これだけは譲らない。