龍神×紅蓮



「まだ好きでいてくれて…」


過去を知ってるはずなのに…


嫌われても仕方ないと思ってたのに…


でも、これが蓮華の優しさなのかもしれない。


気、遣わせちゃってるのかな…


「無理しないでいいよ?あたしは大丈夫だし」


「んだよ…俺そんなに無理してるように見えるのかよ!確かに希の話は悠司から聞いた、でも俺は、希の事汚いとか思ってねぇ!」


勢いよくあたしを見上げる蓮華の瞳は真剣そのものだった。


っ…


蓮華の頭を撫でていたあたしの右手は、蓮華の左手に捕まっていた。


ぎゅっと握られ、逃がしてはくれなかった。


「俺は希しかいらねぇ、希が好きなんだよ」


真っ直ぐあたしを見つめるその瞳は、逸らすことを許さなかった。


何も言わないあたしに、蓮華は掴んでいた手をぐいっと引っ張った。


「わっ…」


蓮華に抱きつく。


…というのは、ギリギリの所であたしの膝がベンチに着いたおかげで回避出来た。


……けど。


「ちょ、蓮華…?」


目と鼻の先に蓮華の顔がある。


ち、近い…


恥ずかしくて逃げようとするも無駄で…


これでもかってくらい心臓が激しく動いてる。


蓮華にも聞こえちゃうんじゃないかって程。


「希…」


っ…!?


熱っぽく囁いた蓮華の顔が近付いて、そのまま柔らかな唇があたしのに重なった。


優しく触れるそれは、初めての感覚で。


初めてじゃないのに、気持ちが違うだけでこんなにも違うなんて…


こんなに心地いいものだったなんて…