何なのよ、全く…
総長の威厳なんて微塵も感じない。
子供みたい…
「どうしたのよ蓮華、蓮華らしくないじゃん」
あたしは、そっと蓮華の髪に触れた。
短くて赤い髪は見た目によらず柔らかかった。
そのままあたしは、優しく撫でていた。
「俺は、何も出来なかった…」
ポツリと零したその言葉は、ひどく弱々しいものだった。
何も出来なかった?
「今回の事だって、佐賀組の時だって、俺は肝心な所で何も出来ずに見てるだけ。こんな奴が総長やってていいのかと思って…」
なんだ、そんな事…
もっと深刻なことで悩んでるのかと思ったら…
そんなの答えは1つだよ。
「悩んでる暇あったら強くなれ。あたしらだって、元々強かったわけじゃない、鍛えたからこそ今があるんだから」
でも…
「急いで強くなる必要はないよ、これから少しずつ強くなれば…」
「ダメなんだ!」
あたしの言葉を途中で遮った蓮華。
っ…
どうして…
「早く!早く希を超えないと、希を守れねぇ…」
「え…」
あたしは思わず耳を疑った。
「好きな女に守られるのは嫌なんだ、もう、希には傷ついて欲しくねぇんだよ…」
そんな事、思ってくれてたなんて…
「ありがと、蓮華…」
それに、


