龍神×紅蓮



「希ちゃん、もう1人落ち込んでる奴がいるから、助けてやって?」


突然、颯斗がそう言った。


「今頃、屋上で落ち込んでるはずだから」


あたしは、何も言わず頷くと、病室を飛び出し屋上への階段を駆け上がった。


エレベーターもあったけど、待ってる時間が嫌だった。


キィーーッ


扉を開けると、そこは屋上庭園。


いた…


少し歩いた先に、ベンチに座って空を見上げている…蓮華。


確かに、颯斗の言った通り落ち込んでるようだった。


総長の時の勇ましい姿はそこには無かった。


蓮華は昨日から変だった。


助けに来てくれた時も、一言も話さなかったし。


あたしとも、あまり目を合わせようとしなかったし。


それで、どれだけあたしが傷ついたか…


って、それは置いといて!


ゆっくりと傍に近寄ると、気付いた蓮華は少し驚いて、すぐに視線を逸らした。


胸がチクッと痛んだ。


何で逸らすの…


何で何も言ってくれないの…


少し、むっとなったあたしは、隣には座らず、座ってる蓮華の目の前に立ち塞がった。


その事に驚いた蓮華はあたしを見上げる。


あたしはむっとした顔で蓮華を見下ろす。


「の、ぞみ?」


「何しょぼくれてんのよ!それでも紅蓮の総長か!」


気付けば叫んでいた。


幸い、屋上にはあたし達だけしかいない。


蓮華は黙り込んで、俯いてしまった。