龍神×紅蓮



「希ちゃん!ごめん!俺、あんなひどい事っ…」


そう謝る桐も、奥歯を噛み締め泣くのを堪えてるようだった。


「何も知らないとはいえっ…俺……ホントにごめん!」


桐は肩を震わせながら、頭を下げた。


「桐、頭上げてよ。本当の事だったし、自分を責めないで」


ゆっくりと顔を上げたその瞳には、涙が滲んでいた。


桐の言った事は間違いじゃないし、言わなかったあたしも悪いんだ。


何より、あたしのせいでみんなを傷つけてしまったんだ。


桐が謝る必要はないんだ。


「みんなを傷つけて、心配させて、ごめんね。助けに来てくれた事、すごい嬉しかった、ありがとう!」


3人は来れなかったけど、助けに行くって聞かなかった、それだけですごく嬉しかった。


あたしは、みんなと出会えて本当に良かった。


もし、出会えてなかったら、今も相変わらず簡単に人を信じれずにいたと思う。


だから、この出会いには感謝をして、大切にしていきたい。


「桐は、キーキーうるさい猿なんだから、涙なんて似合わないよ」


ベッドに横になったままの洋介が、泣いてる桐をからかうと


「泣いてないし!俺人間だし!退化してないし!」


服の袖で涙を拭って、必死に否定する。


ふふっ


思わず笑ってしまうあたし。


つられて颯斗や平次も笑ってる。


いつの間にか、清羅と悠司は居なくなってるし。


きっと、気を使ってくれたんだ。


あたしの腕の中にいる椿も落ち着いてきて、離れると


「おかえり、希ちゃん!」


涙でぐちゃぐちゃの笑顔でそう言う椿。


すると、みんなもそれに続いて


「「「おかえり」」」


って。


思わず、あたしまで泣きそうになるのをぐっと堪えて、


「ただいま」


笑顔でそう言った。