しばらくして、病院に着いたあたし達は3人で病室に向かう。
今入院してるのは洋介だけ。
桐と椿は昨日退院したらしい。
本当はもっと早く退院出来たらしいけど、あたしを助けに行くと聞かない2人に、輝さんが引き止めていたらしい。
洋介はあばらやってるし、あと何ヶ月は退院出来ないだろう。
そして、3人並んで歩いてたはずが、病室に着く頃には2人に遅れをとっていた。
そんなあたしを見て、清羅は呆れ顔、悠司はいつものように微笑んでいた。
「だ、だって…」
不安なんだもん!
仕方ないじゃん!
「心配する事ねぇって言っただろ?ほら、行くぞ」
「あ、待って!」
清羅はあたしの制止も聞かず、思い切りドアを開けた。
うぅ…
みんなからの視線が怖くて、俯いていると…
ガタンッ
何かが倒れる音がして、驚いて顔を上げると
バタバタッ ギュッ
すごい勢いで誰かが飛び付いてきた。
薄い茶髪にあたしより少し低い背丈。
「つば、き?」
出会った頃にもこういう事あったっけ…
あたしの任務が終わって退学届を書いて学校に行った日。
あの時も、ドアを開けたらいきなり椿に抱きつかれたんだ。
「ごめんね、希ちゃん…ごめっ……」
あたしの肩口に顔を埋める椿は、肩を震わせていた。
そんな椿に、あたしは優しく抱き締め、子供をあやす様に頭を撫でる。
すると、抱きしめる力が強くなった。


